第33章 この縁談には同意しない

リビングが、ふいに静まり返った。

鳳宗一郎と鳳琴音の笑みが、ぴたりと固まる。二人とも、状況を飲み込めていない。

……こん、こんやくはき? 相手は鳳美桜で?

じゃあ今度は、咲夜と婚約を……?

展開が急すぎて、頭が追いつかない。

鳳咲夜はわずかに首を傾げ、宝生尊をしばらく見つめた。赤い唇が、静かに開く。

「お断りします」

「……?」

宝生尊の顔に、一瞬だけ呆気に取られた色が走った。

退婚の件で遺恨が残っているだろう――そこまでは想像していた。だが、ここまで迷いなく切り捨てられるのは、さすがに予想外だったらしい。

鳳宗一郎も固まり、反射的に口を滑らせる。

「咲夜、今なんて?」...

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