第35章 ある男たちは地位が犬にも及ばない

それは、息を呑むほど端正な金髪の若い男だった。鳳咲夜へ向けられた青い瞳には、角が取れたみたいな柔らかさが滲んでいる。

鳳咲夜より頭ひとつ以上は高いはずなのに、彼は彼女の前で素直に首を垂れていた。

しかも――鳳咲夜は笑みまで含んで、手を伸ばし、その頭をぽん、と撫でたのだ。

宝生尊の眉間に、ゆっくり皺が寄る。

胸の奥が、理由もなくむず痒い。何かが詰まっているみたいに酸っぱくて、苦くて、居心地が悪い。

助手席の五十嵐修はタブレットで予定を照合していたが、急に車内の空気がひやりと沈んだのを感じた。

背筋がぞわりとして顔を上げ、宝生尊を見てから、その視線の先を追う。

――うわ。

五十嵐...

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