第36章 彼は今日は薬を飲み間違えたのか

連日、処方の手がかりを追い続け、昨夜もアトリエに深夜まで籠もった。鳳咲夜がいくら体力に自信があっても、さすがに疲れが残る。

翌朝。咲夜は珍しく寝坊をした。

身支度を整え、のんびり本館へ向かったころには、もう午前10時近い。

リビングに入る前から、中では宝生尊と鳳宗一郎が景気よく経済談義で盛り上がっている声が聞こえてきた。

――また来てるの?

こめかみにうっすら青筋が浮く。咲夜はそのまま足を踏み入れたが、ソファに座る尊の横顔が視界に入った瞬間、ふっと歩みが止まった。

今日の宝生尊は、いつもの代わり映えしないスーツを脱ぎ捨て、妙にラフだ。

ベージュのカシミヤニットに、カーキのチノパ...

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