第49章 色香に惑わされる

皆がぎょっとして、慌てて扉を開けた。そこには――鳳美桜が頭から血を流し、扉の脇に倒れ込んでいた。

彼女は苦しげに顔を上げ、弱々しく縋るように訴える。

「……行かせないで……お願い……送らないで……」

鳳宗一郎の胸に、反射的に痛みが走った。

だが――この間に起きたことを、誰よりも彼が分かっている。

最初は叱るだけで罰しなかったのは、どんな形であれ二十年育てた娘だったからだ。突然の身分の変化で不安になっただけかもしれない、そう思ってやり直す時間を与えたかった。

けれど、今日で全部見えた。

鳳美桜は、ただ純粋に性根が腐っている。

二十年分の情で残っていた最後のためらいが、ふっと消え...

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