第53章 どうやらここは平穏ではない

「鳳さん、こちらがオフィスになります。先に少しお休みになりますか、それとも……」

小林秘書が鳳咲夜を案内しながら、うかがう。

「休憩は要らない」

鳳咲夜は広い執務机の奥へ回って腰を下ろし、埃ひとつない――けれど何も置かれていない天板を一瞥した。

「小林秘書。直近1年分の財務諸表、主要案件の進捗一覧、人員構成と勤怠評価の記録。それからデザイン部の開発中と既発売の新商品資料を全部持ってきて。あと、各部門の責任者に連絡して。1時間後、大会議室で会議」

矢継ぎ早の指示に、小林秘書は思わずきょとんとする。

このお嬢様は貫禄こそ十分だが、経営の実務はそこまで分からないかもしれない――鳳一輝か...

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