第58章 二人きりで過ごせるようになった

三人はそろって怪訝そうに振り向いた。

見ると、使用人が焦りきった様子で、手も足も出そうな勢いで大げさに身振りしながら言う。

「奥庭の椿が、何本か倒れてしまいまして……。庭師が申しますには、根が緩んでいるかもしれないと。今夜は風が強いので、隣の温室に倒れ込んだら危ないんです。恐れ入りますが、一度ご確認を……」

「なに? 椿が倒れたですって?」

宝生奈々枝がガタンと立ち上がり、顔いっぱいに痛ましさを滲ませた。

「あれはね、私が十年以上かけて育てた椿なのよ! 尊、咲夜さんと少しお話していて。おばあちゃんはすぐ戻るから」

そう言い捨てるや否や、おばあさんは嵐みたいな勢いで出ていった。

...

ログインして続きを読む