第62章 彼が死ねば金が手に入る

鳳一輝は愕然として、思わず一歩退いた。

当然、彼はその人物の名を知っている。

“歩くレントゲン”――そう呼ばれる怪物。両手だけで人体の臓器配置を読み切り、画像より正確だとまで噂された。

十三歳で国際的な医療研究プロジェクトに参加し、その後は忽然と姿を消した天才の名医……。

「……お前、なのか!?」

鳳咲夜は説明する暇もなく、鳳一輝に小さく頷くと、迷いなくオペ室へ足を踏み入れた。

ほどなく、オペ室の灯が点く。

神崎家の父子が鳳咲夜の助手につき、三人は術前準備を終えると手術台の脇で視線を交わした。

「始めます」

秒針が刻まれるたび、時間は容赦なく流れていく。

気づけば、五時間...

ログインして続きを読む