第69章 僕の物語は長い、ゆっくり語る

鳳咲夜は黙り込んだ。

しばらくして、ふいに小さな声で尋ねる。

「……どうして、私が好きなの?」

宝生尊は一瞬きょとんとして、それから真面目に考え込んだ。

「俺にも分からない」

そう言って、少しだけ困ったように笑う。

「前にあの本の話をしただろ。たぶん、恋って理由が要らないんだと思う。……視界に入った瞬間、あ、特別だって思った。唐って姓だからでも、婚約がどうとかでもない。君がそこに立ってるだけで――この人は違う、って」

鳳咲夜の頬が、さらに熱を帯びる。

俯いて、指先で無意識にシーツの端をねじり続け、ようやく絞り出すように言った。

「でも……まだ、答えてない」

宝生尊は首を振...

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