第71章 愛は痛みを止める

二人は四十分近くかけて、実験室に残っていた薬品の残渣を隅々まで洗い流し、完全に処理し終えた。

実験棟を出た途端、外で待機していた影山陽斗が勢いよく駆け寄ってくる。

「ボス!」

大声で呼びながら目前まで突っ込み、鳳咲夜を上から下まで三、四度も検分する。無傷だと確かめたところで、ようやく息をついた。

「検査部の連中、もうすぐ到着します! 今、障害物の撤去に入ってて、あと十分も――」

「帰らせて」

鳳咲夜が切って落とす。

影山陽斗は目を瞬いた。

「あ?」

「研究所は封鎖。戒厳を敷く。今この瞬間から、誰一人として出入り禁止」

その言葉を聞いた影山陽斗の顔色が、さっと変わった。

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