第76章 彼女は宝生尊にキスされた

鳳咲夜は淡々と言った。

「あなたが当時提出した研究計画書。肝心の実験デザイン、その中核にあるいくつかの工程で致命的なデータ捏造と論理破綻があった。根拠として挙げた文献も、二本は撤回済みのゴミ論文。もう一本に至っては、あなたの仮説と真っ向から矛盾してる。なのに自作モデルは重要な交絡因子を最低でも三つ落としてる。そこで出した“画期的結論”なんて、砂の上の楼閣よ」

五月知奈の顔色が、さっと白くなる。

「う、嘘……! あの計画書は何人もの教授に――」

「褒められたのは事実よ。文章が滑らか、総説が綺麗、発想が大胆ってね」

鳳咲夜は気だるげに遮った。

「でも本気で思った? それぞれの分野で何...

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