第78章 危うく襲われかけた

鳳咲夜は足を止めた。

この声……どこかで聞いたことがある。

耳を澄ませば、鳳美桜の泣き声だった。

――どうして戻ってきた? 静心別荘で反省させるために送られたはずじゃ……。

胸の奥に疑念が芽生え、鳳咲夜は気配を殺して主ホールの扉の外へ回り、まずは様子を窺うことにした。

ちょうどその時、身の回りの世話をしている田中さんが通りかかり、鳳咲夜を見つけるなりぱっと顔を輝かせて駆け寄ってきた。

「お嬢様! お帰りなさいませ!」

だが、室内から漏れてくる泣き声を耳にした途端、田中さんの表情は気まずそうに曇る。主ホールの方へ顎で合図し、声を落とした。

「鳳美桜様でございます……さきほど急に...

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