第85章 彼女のベッドで寝た

鳳咲夜は、目の前へ差し出された指の長い、清潔感のある手を見つめた。下唇をきゅっと噛んでから――自分の手を、そっとその掌に預ける。

宝生尊は、壊れものの宝物を扱うみたいに、彼女の手をやさしく包み込んだ。

そして顔を上げ、まっすぐに咲夜の瞳を見返す。

「須藤のお爺様の言葉は、俺もその通りだと思う。咲夜は自分で、自分の人生を、強くていい道に組み立ててきた。……でもさ」

握る力が、少しだけ強くなる。

「人生って、ずっと前へ突っ走らなくてもいいだろ。ずっと弦みたいに張り詰めてなくてもいい。疲れたって思ったら、立ち止まって、休んだっていいんだ」

一拍置いて、息を吸う。

「もし俺にその資格が...

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