第89章 彼は誰かに助けに来てもらうためだった

小林秘書の焦った制止の声が、廊下の向こうから響いてきた。

「村田副部長! 本当に中へは入れません! 鳳さんは重要書類の処理中で、アポイントも――」

「アポだぁ? ふざけんな! 俺がこのフロアに入るのに、いつから予約が必要になった!? どけ! 鳳咲夜を出せ! 何の説明もなしにクビって、どういうつもりだ! 俺はルミナス・インターナショナルのために何年命削ってきたと思ってんだ! 苦労だけでも山ほどある! ガキが上に立った途端、用済み扱いかよ! 道理ってもんがねぇだろ!」

「村田副部長、落ち着いてください! ここは会社です、周りへの影響が――」

「影響? 俺の飯のタネが消えたんだぞ! 影響も...

ログインして続きを読む