第94章 私は独りで空き部屋を守ることになった

鳳咲夜は一瞬、動きを止めて顔を上げた。少し前の席に、見慣れた背中があって、俯いたままメッセージを打っている。

次の瞬間、鳳咲夜のスマホが震えた。

Y【咲夜、急きょ雁川市に出張になった。戻るの三日くらいかかるかも。(泣き泣き.jpg)】

鳳咲夜は思わず吹き出し、そのまま歩み寄って、背後から宝生尊の肩をぽん、と叩いた。

「忙しそうね」

宝生尊が驚いたように振り向く。そこには、笑って立つ鳳咲夜がいた。

「咲夜!?」

宝生尊はぱっと立ち上がり、目を輝かせる。

「え、なんで空港に? まさか俺の出張知ってて来た、とか……?」

そんなはずはない。鳳咲夜が暇を持て余して、自分の行程を人に追...

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