第101章 完全に消える

水紀は、さすがに苛立ってきた。

――なんで次から次へと湧いてくるわけ? こっちは契約のサインに行かなきゃいけないのに。

時刻を確認する。もう遅刻だ。これ以上、無駄にしている暇はない。

水紀はそのまま坂井西尾の番号を呼び出した。

「坂井西尾。南通り三十六番地。すぐ来て」

「坂井西尾、だって?」

上川さんがその名を耳にした瞬間、腹を抱えるように笑った。

「水紀、後ろ盾がいるフリして脅してんのか? でもさ、お前、来田区ってもんを分かってねえな。坂井西尾の名を――呼び捨てにできる立場だと思ってんのかよ」

風岡武勝も便乗する。

「坂井西尾って名がでかすぎてさ。どうせ来田区にも来たこと...

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