第27章 婚約者

水紀は目の前の男を見つめた。

気品のある佇まいは、たしかに視線を奪う。ここまで整った顔立ちなら、断る言葉が喉に引っかかるのも分かる。

……けれど、何の前触れもなく「婚約者」が増えるなんて。

水紀には、どうしても受け入れがたかった。

「その……」

ためらいがちに口を開く。

「私たち……」

御堂蓮司は、彼女の迷いを見抜いていた。無理に答えを迫る気はないらしい。

「大丈夫です。まずは友達として、ゆっくり距離を縮めましょう」

その紳士的な言葉に、小林栞里はますます満足そうに頷いた。

水紀の気持ちを優先できて、しかも表情の揺れまで細やかに拾える。

――非の打ちどころのない婿だわ。...

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