第33章 馬場

水紀はそれがどれほど重要な品か理解した途端、慌てて首を振った。

「これは、受け取れない」

「君は俺の婚約者だ」

たったそれだけ。けれど、所有権の宣言みたいに重かった。

「でも……」

「要らないなら捨てればいい。贈ったものを引っ込める気はない」

水紀は手首のブレスレットに視線を落とし、ためらう。

こんな高価なもの、捨てられるはずがない。誰かが拾って御堂家の名を利用し、悪さでもされたら――。

「……じゃ、じゃあ先に、離して」

もう一度、二度。引いた。けれど指はほどけない。

御堂蓮司を見上げると、当の本人は目を閉じていた。聞こえないふり、というより――もう決めたから議論の余地は...

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