第34章 対比

乗馬の楽しさを味わえないまま、三浦亮治は少し肩を落とした。

気分が沈みかけた、そのとき――少し離れた場所から、コツ、コツ、コツ……と蹄の音が届いた。安定していて、しかもリズムがいい。聞いただけで分かる。乗り手は相当の手練れだ。

三浦亮治は音のするほうへ顔を上げる。栗毛の馬体が陽を受けて艶めき、その腹のラインを目で追った先に――

水紀の、ぱっと目を引く精緻な顔があった。

大きな荒馬を、彼女はまるで自分の手足みたいに扱っている。動きも速度も、無駄がない。完璧すぎて、文句のつけようがなかった。

三浦亮治は呆気に取られ、手綱を握る手が――反射的に緩んだ。

「あっ!」

三浦亮治が手を離し...

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