第35章 ぴったりと近い

水紀は数秒迷った。

乗馬が好きだし、これほどの馬格の名馬に出会える機会なんてそうそうない。抗いがたい――。

結局、意を決して御堂蓮司の差し出した手を取ると、身を翻して鞍へ跨った。

馬はすぐに駆け出す。もともと鞍は細く、二人の距離はほとんどゼロだった。

水紀の背中に、男の温かな胸がぴたりと当たる。落ち着いた鼓動まで、やけに鮮明に伝わってきた。

御堂蓮司は片手で手綱を操り、もう片方で自然に水紀の細い腰を抱く。指先がふいに腰の柔らかいところを掠め、淡い熱を残した。

馬が一歩踏み出すたび、身体がふわりと上下する。小さな揺れが来るたび、水紀は抑えきれずに男へ少しずつ寄ってしまう。

「触ら...

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