第56章 俺は彼女のものだ

令嬢ふたりはその言葉を聞くなり、顔色を悪くして去っていった。

「水紀!」

背後から小林栞里の声が飛ぶ。「さっきから探してたのよ。聞いたんだけど――」

栞里の言葉が喉で止まった。水紀の後ろに立つ男を見たせいだ。

堂々たる総理の後継者が、よりにもよって給仕の制服姿。

「え、え、え……なにこれ……どういう状況?」

萩原明徳も固まったまま、水紀をさっと引き寄せる。御堂蓮司には作り笑いを貼り付けつつ、声を潜めて詰めた。

「どういうことなんだ、これは!」

「明徳さん、栞里さん」

御堂蓮司が落ち着いた声で説明する。

「俺がスーツだと目立ちすぎて、周りがいちいち気にするからって。水紀が…...

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