第60章 村田社長の顔は本当に広いね

ケイディは困り顔で言葉を濁した。

「萩原社長……生産部は会社の要です。誰も村田社長には逆らえません。社長はまだ着任されたばかりですし、今は刺激しない方が……」

水紀はケイディに悪気がないのが分かった。あれほど慎重になるのは、本当に村田社長が怖いのだろう。

――社内で相当、やってきたに違いない。

村田社長がケイディを寄越した時点で、水紀に断られる可能性は織り込み済み。ならば、こちらも不意を突く。

「村田社長に伝えて。手元の仕事が片付いたら、私から伺うって」

ケイディはようやく息をつけた。萩原社長が突っぱねて話が大きくなり、村田社長の機嫌を損ねたら――割を食うのは結局、現場の人間だ。...

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