第62章 映画を見る

水紀があたりを見回すと、小林も、さっきまで見張るように立っていた使用人たちも、跡形もなく消えていた。

漆黒で艶めいた空間に残されたのは、水紀と御堂蓮司の二人きり。

水紀は反射的にリモコンを探して、テレビを消そうとした。

けれど、どこを探しても見つからない。

画面の向こうから漏れてくる女の甘い喘ぎ声が、唐突に耳朶を撫でてきて、頭皮がぞわりと粟立った。

隣にいる男の呼吸が、少しずつ重くなっていくのがわかる。

恐る恐る視線を向けると、上下する胸元、喉仏の動き――そして。

いつの間にか自分に刺さっていた、熱を帯びた視線。

水紀の胸がきゅっと縮んだ。

ひんやりしていたはずのリビングの...

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