第72章 マッサージ師

水紀は御堂蓮司のリズムに合わせるうち、少しずつ力が抜けていった。彼の動きは驚くほど優しい。掌がうなじをゆっくりとなぞり、こりが溜まって酸っぱく張る場所へ――ちょうどいい塩梅で、すっと吸い付くように収まる。

「ん……っ」

あまりに気持ちよくて、水紀は堪えきれず唇からかすかな声を零してしまった。

御堂蓮司の手首が、ぴたりと止まる。体の奥に燻っていた熱が、じわりと広がった。

薄い背中。指先に触れる、柔らかい肌。胸のあたりが妙にゆるんで、甘く痛む。

――水紀は、ほんとうに綺麗だ。

どこから見ても隙のない綺麗さで、目に入るすべてが彼の心を掻き乱す。

「もう少し、左」

水紀は心地よさに浸...

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