第79章 社長のふりをするつもりか?

水紀は冷ややかに見据えた。顔に慌てた色など欠片もなく、眼差しだけがすっと氷点下へ落ちる。

男の手があと一寸でも近づく前に、彼女のほうが先に動いた。迷いはない。左手が伸び、狙い澄ましたように男の手首を扣える。指を締めた瞬間、

「い゛っ……!」

男が痛みに声を漏らした。

「萩原グループの現場で、そんな真似をして……萩原社長の耳に入るのが怖くないの?」

男は、水紀の反応がここまで速いとは思っていなかったらしい。眉をひそめ、歯を食いしばる。

「萩原社長? そいつが何者だってんだ。こんな場所に来るわけねえだろ。まして、ここで何が起きてるか知るわけがない! いいから離せ! じゃねえと痛い目見...

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