第80章 殺意

銃声が一発――洞窟の静寂は、粉々に砕け散った。

カラン、と短刀が地面に落ちる。井上正司は自分の腕に穿たれた血の穴を見つめ、目を見開いた。

一拍の呆然。次の瞬間、焼けつくような激痛が押し寄せ、井上正司の悲鳴が洞窟に反響する。

御堂蓮司は、いつの間にか洞窟の中にいた。

ちょうど、井上正司が短刀を握って水紀へ歩み寄っていたところを――。

周囲の空気が、ひやりと沈む。墨を流したような瞳に、怒りが渦巻いていた。

白い煙を吐く銃口が、再び持ち上がる。今度、狙うのは井上正司の心臓。

「御堂蓮司!」

水紀は、こんな彼を見たことがなかった。全身から剥き出しの殺気が立ち上り、周囲のすべてを呑み込...

ログインして続きを読む