第82章 彼女は自分の空間が必要だ

「それ、不衛生だよ」

水紀が注意すると、彼は平然と言い返した。

「でも水紀が食べたやつのほうが、うまい」

ぞわっと鳥肌が立つ。

「蓮司様、少しは自重してくれません?」

「愛する人と一緒にいて、どうして自重が必要なんだ」

これ以上付き合えば、さらに気持ち悪い台詞が増えるだけだ。水紀はため息を飲み込み、もう一匙ケーキをすくって差し出した。

「ほら」

「水紀が食べたケーキってことは、水紀にキスされたのと同じだな」

「……ケーキ食べても、その口は塞がらないの?」

ようやく食べ終え、これで少し静かになると思ったのに――すぐ、御堂蓮司の声がまた聞こえた。

「お前の身辺警護、まだ適任...

ログインして続きを読む