第83章 権限がない

村田峰が不機嫌そうに吐き捨てた。

「俺はここで人事の異動を処理してんだ。萩原社長に口出しされる筋合いはねえ!」

「あなたにその権限はありません」

水紀は冷ややかに言い放つ。鋭い視線、揺るぎない圧。

「彼は生産部の人間でもないし、何かミスをしたわけでもない。あなた、何を根拠に“一言でクビ”なんて言えるんです?」

村田峰は社内で、気に入らない相手は理由もなく切り捨ててきた。いつだって思い通り。説明など求められたことすらない。

それを今、萩原水紀に――大勢の前で「権限がない」と突きつけられた。面子を真っ向から踏みにじられたのと同じだった。

小林誠人は目を輝かせ、水紀を見つめる。拠り所...

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