第88章 絶望とは

「バンッ!」

石川刑事が机を叩き、鋭い眼で水紀を睨みつけた。

「成孝……だと? てめえが呼び捨てにしていい名前か。死にてえのか!」

そしてすぐに顔を変え、原口成孝へ媚びるように頭を下げる。口元には卑屈な笑みが貼りついていた。

「署長、この女は身の程知らずでして! どうかお怒りをお鎮めください。こいつは私にお任せを。きっちり取り調べて、絶対に逃がしません!」

石川刑事は署長の怒りが自分に飛び火するのが怖かったのだ。署内の誰もが知っている。原口署長は短気で名高く、やり口も苛烈。容疑者には容赦せず、部下にも厳しい。逆鱗に触れたら終わり――。

「パァン!」

次の瞬間、石川刑事の頬に平手...

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