第89章 総理後継者への贈賄

石川尚平は相手の反応を見て、提示額が足りないのだと思い込み、奥歯を噛みしめた。

「1100万だ。欲をかきすぎるなよ……そうじゃないと、痛い目を見るぞ」

御堂蓮司の眼差しがすっと冷える。底に沈んだ暗い光。すべてを掌握している者の無関心と、圧が滲んでいた。

それでも沈黙は崩れない。

石川尚平は堪えきれず、怒気を噴き上げる。

「1100万あれば一生食っていけるだろ! 言っとくが、素直に言うことを聞かないなら……明日の朝日、拝めないと思え!」

御堂蓮司の顔が、完全に陰った。

「今のも……水紀にやった脅し文句か」

水紀?

石川尚平ははっとする。

「ずいぶん親しげに呼ぶじゃないか。前...

ログインして続きを読む