第94章 自分自身を彼女に差し出した

水紀は、御堂蓮司の言いたいことを理解した。

――つまりこれは……自分を、彼女に差し出すつもりなのか。

「……コホン」

水紀はわざと咳払いをする。

「いらない」

拒絶はあまりにもあっさり。

御堂蓮司はふっと首を傾け、面白がるように水紀を見た。

「いらないのに、なんで顔赤いの?」

水紀は頬に触れて、初めて気づく。熱い。思った以上に赤くなっていた。

「……あたし、暑いだけ」

そう言い捨てて、逃げるようにバルコニーへ出た。夜風が頬を撫で、ようやく息がしやすくなる。

静かな月明かりが、山肌いっぱいの花海に降りていた。水紀はそこで気づく。御堂蓮司は道路の両脇だけではなく――山そのも...

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