第96章 彼氏はヤクザ

夏川真緒はコップを両手で抱えたまま歩み寄り、腰を下ろした。俯いた視線の先で、胸の奥がじくじくと痛む。考えれば考えるほど、息が詰まりそうだった。

「祖父が亡くなったのは二か月前です。会社と、いくつかの不動産が残って……本来なら、うちと伯母の家で半分ずつ分けるはずでした。でも祖父は急だったから、遺言がなくて……」

真緒は唇を噛み、言葉をつないだ。

「伯母は『会社の持ち分はいらない。不動産だけでいい』って言ったんです。それで私たちは、不動産と祖父の預金を全部、伯母に渡して……父と母が会社を引き継ぎました」

「でも、引き継いでから分かったんです。会社は大きな赤字で、借金まみれで……毎日、取り...

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