第104章

会場は、一瞬で水を打ったように静まり返った。

視線という視線がいっせいに黒田美穂へ向く。審査員席でも何人かが眉をひそめた。

黒田美穂の瞳孔が、わずかに縮む。

四方八方から突き刺さる視線が、針の束みたいに背中へ降り注ぐ。ぞわり、と産毛が逆立つのが分かった。

――それでも、顔には一切出さない。

「上山先生。この作品は当然、私が一人でデザインしました。アイデアの段階からラフ制作、仕上げに至るまで、引いた線はすべて私の手によるものです。なぜそんなことをお聞きになるのか分かりませんが……私は自分の作品に、やましい点は一つもありません」

声は揺れない。言葉の一つ一つを、はっきり噛んで届ける。...

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