第109章

青山美玲が駐車場の向こう側から歩いてきて、車のドアを開けると、後部座席のいちばん奥へ滑り込むように腰を下ろした。

視線が一度、黒田理沙をかすめ――すぐに逸れる。手にしていた金箔の入ったトロフィーも、座席の下へ押し込むように隠した。

いまさら、優勝なんて何の意味がある。

「エイミー」という名以上に価値のある賞が、どこにある?

エンジンがかかり、車は駐車場を出て、京清市のきらめく夜へと溶けていく。

ロールス・ロイスの後席で、青山博文はシートに背を預け、スマホを手にしていた。画面には秘書から届いたばかりのメッセージ。

『青山社長。春樹様の件、確認が取れました。昨年、エイミー先生のデザイ...

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