第11章

彼女は顔を横に向け、青山博文を見た。父親なら、せめて一言くらい公平なことを言ってくれるはず――そう期待して。

青山博文はインテリアブックをめくったまま、顔も上げない。

「うん、お姉ちゃんが気に入ったならそれでいい」

青山美玲の笑みが、そこで完全に崩れた。

座ったまま、彼女は見てしまう。

岩本辰也がまた黒田理沙へ視線を送るところ。

青山彩が手を伸ばし、黒田理沙の耳元の後れ毛をそっと整えるところ。

青山博文がカップを、何気なく黒田理沙のほうへ寄せるところ。

誰も、青山美玲を見ない。

膝の上で指を握りしめる。爪が掌に食い込み、じん、と痛んだ。

あの女は何も言わない。何もしない。...

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