第110章

ロールス・ロイスが邸宅の正門をくぐり、静かに停まった。

黒田理沙がドアを押し開け、片足を外へ出したその瞬間、背後から青山彩が追いついてくる。風を含んだトレンチを、理沙の肩にもう一度きゅっと寄せた。

「理沙、先に上へ行かないで」

彩の声には、秘密を抱えたような弾んだ色が混じる。

「パパとママがプレゼントを用意してるの。書斎で」

理沙は首だけ振って、彩を横目に見た。

「プレゼント?」

「行けば分かる」

彩は理沙の腕を取り、そのまま有無を言わせず本館へ引っ張っていく。

青山博文も後ろからついてくる。いつもより数歩、足が速い。

最後尾に、青山美玲がいた。

一等賞のトロフィーを提...

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