第115章

中村慶太の顔色が、ほんのわずかに変わった。だが、それも一瞬。すぐに何事もなかったような顔に戻る。

くつり、と彼は笑った。

「黒田社長、まだご存じないようですね。会社の防犯カメラシステム、昨夜いきなり故障しましてね。記録は何ひとつ残っていないんです。――ずいぶん出来すぎた話だと思いませんか?」

そう言って両手を軽く広げ、いかにも残念そうに肩をすくめる。

「ご覧のとおり、防犯カメラは壊れている。証拠も消えている。仮にあなたがあのファイルを差し止めたところで、それで何が証明できるんです? あのデータを誰が送ったかなんて、誰にもわからない。ひょっとすると、川村南さんが自分で盗用したあと外部に...

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