第122章

青山彩は向かいに座り、両手で顎を支えたまま、理沙がスープを飲むのを静かに見守っていた。口元にはかすかな笑み。けれど目の縁は、うっすら赤い。

黒田理沙は最後の一口を飲み干し、器を置いてから顔を上げ、青山彩を一度だけ見た。

「お母さん、先に上がるね。明日も出るし、夜明け前には出発だから」

青山彩の眉間がきゅっと寄る。だが今回は引き止めず、立ち上がって食器をまとめながら、ぶつぶつと小言をこぼした。

「じゃあ早く寝なさい。布団ちゃんとかけて、冷やしちゃだめよ」

黒田理沙が階段を上がる途中、青山春樹の部屋の前を通りかかる。扉の隙間から、薄い黄の灯りが一本、床に伸びていた。

理沙の足が、ふっ...

ログインして続きを読む