第138章

彼女は眉をひそめ、視線をぐるりと巡らせた。

共同出展の相手はまだ脇で資料をまとめている。スタッフも展示台の片付けに追われている。だが、川村南の姿だけがどこにもない。

「川村南は?」

近くにいた人物へ問いかける。

「あ、川村さんならさっき、研究員の人に呼ばれて外に出ましたよ。技術交流の話を、外で少しって」

その人は脇口の方を指した。

「たぶん、出たばかりです」

黒田理沙の眉間の皺が、さらに深くなる。

彼女はボトルを置き、立ち上がると、足早に脇口へ向かった。

脇口の外は路地で、会議センターの裏口と駐車場をつないでいる。

黒田理沙が扉を押し開けた瞬間――路地の奥から、妙な音が聞...

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