第149章

電話の向こうで、花村尚希は機内の座席に身を沈めたまま、彼女の声がいつも通り落ち着いているのを聞き取る。張り詰めていた神経が、ようやく少しだけ緩んだ。

「何か食べ物、そっちに届けさせようか? 今、何が食べたい?」

黒田理沙は小さく吹き出す。

「いい。もう食べた」

指先でテーブルを、コツン、コツンと二度叩く。

「そっちはどう? 順調?」

「順調」

花村尚希の返事は早い。

「ただ……ちょっと、理沙に会いたい」

黒田理沙は眉間を揉んだ。周囲には部下が何人もいる。これ以上この話題を引っ張る気にはなれない。

「この山が片づいたら戻る。電話、あんまりかけないで。こっちは立て込んでて、出...

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