第156章

「異論でもあるの?」

花村尚希は彼女を見つめた。深い眼差しのまま、少し間を置いてから、ゆっくり首を横に振る。

「ない」

黒田理沙が眉を上げる。

「本当に?」

花村尚希はふっと喉の奥で笑った。

「ただ……あいつが何かと君に頼って、借りが増えていくのが心配でね。あとで君がしんどくなる」

「……」

黒田理沙は一度だけ花村尚希を見た。普段は堅物みたいな顔をしているくせに、こういうことだけ妙に口が回る男だ。

「花村社長、最近どんどん口が上手くなってる」

花村尚希の瞳の奥に、かすかな笑みが浮かぶ。否定はしない。張りつめていた空気が、いつの間にか少しだけほどけていた。

しばらくして、...

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