第165章

翌朝、空が白みはじめたころ。黒田家の三人は慌ただしく家を出た。

車は郊外へ向けて走り、車内には重たい沈黙が落ちている。

助手席の黒田守は、終始顔色が冴えなかった。昨夜は一睡もできず、頭の中で義母のことばかりがぐるぐる回っていた。――こんなやり方、やっぱりまずい。そう思うのに。

だが黒田家はもう崖っぷちだ。ほかの手段など、彼には思いつかなかった。

後部座席の黒田美沙子だけが妙に元気だった。事前に用意した書類を握りしめ、目の奥にかすかな高揚が灯っている。

今日さえ片づけば、黒田家にはまだ立て直す目が残る。

母さんがこの先どうなるか。

そんなことは、自分が気にする話じゃない。

所詮...

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