第172章

「申し訳ありません、黒田さん」

彼の声には、はっきりとした悔いが滲んでいた。

「俺の不手際です。出入りの管理が甘くて、黒田家の連中を中に入れてしまった。黒田婆さんの物まで持ち出されて……俺が止められなかった」

黒田理沙は足を止め、振り返って彼を見た。

「あなたのせいじゃないわ」

声は淡々としている。

「連中の人間性は、私が一番よく知ってる。扉一枚で止まるような連中じゃない。今日入れなかったとしても、明日には別の手を使う」

川村彰人が口を開きかけた、その前に――黒田理沙は踵を返し、歩き出していた。

彼はその場に立ち尽くし、遠ざかる背中を見送る。

「警備を強化します」

背後か...

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