第176章

青山彩は顔色をさっと変え、勢いよく立ち上がった。

「……ちょっと! どうしたの、それ!」

早足で駆け寄り、痛ましげに目を細める。

「誰にやられたの? いじめられたの?」

青山美玲は、さっきまで必死に堪えていた。けれど青山彩の姿を見た瞬間、張りつめていた糸がぷつりと切れる。涙が、ぽろりと頬を伝った。

「……ママ」

鼻にかかった声。悔しさとやるせなさが滲み、涙はみるみる勢いを増していく。

言いたいのに言えない――そんな仕草が、青山彩の胸をきゅっと締めつけた。

「いったい何があったの? 誰がこんなこと……!」

そのとき、傍らに控えていた高橋が、ついに堪えきれず口を開いた。

「奥...

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