第187章

祖母の見舞いを終え、一家はそろって病院の正面玄関を出た。

すでに夕闇が降りている。青山彩は黒田理沙の腕に自分の腕を絡めたまま、家に着くまで一度も離さなかった。

帰宅すると、彩は真っ先に山田さんへ指示を飛ばした。五つ星ホテルのシェフを呼んで。

それから彼女はキッチンの入口に立ち、シェフが手際よく食材を捌く様子をじっと見守る。

「脂は控えめにしてね」

「ソースも、もう少し軽く」

「盛り付けも、きれいに。すっきりと」

低い声で何度も念を押す。味だけじゃない。皿の上の見栄えまで、彩は妥協しなかった。

一時間もしないうちに、食卓は料理で埋め尽くされた。

オマール海老のテルミドール。ア...

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