第191章

黒田理沙は視線を引き戻し、運転手に告げた。

「中村さん、先に戻って。迎えが来てるから」

運転手は彼女の目線の先――道路の向こう側に停まる一台へちらりと目をやり、ナンバーを確認すると、余計なことは聞かずに頷いた。

「かしこまりました、お嬢様。では、失礼いたします」

黒田理沙は横断歩道を渡り、脇口のほうへ向かって歩き出す。

数歩も進まないうちに、背後からまた足音が追いすがってきた。

青山美玲が小走りで追いつき、少し乱れた息のまま黒田理沙の隣に並ぶ。脇口の方向に停まる黒い車を一瞥し、ふっと笑った。

「姉ちゃん、あれ尚希兄の車だよね? 迎えに来てくれたんだ」

声は相変わらず甘く柔らか...

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