第195章

彼女の足取りはいつもより少し軽く、階段を踏む音はすぐに二階の廊下へ溶けて消えた。

青山美玲はその場に立ち尽くしたまま、手にした紅茶はすっかり冷めきっている。

ほどなく二階で足音がまた弾み、続いて青山彩の声が響いた。

「理沙、早く! お客さん来てるの。全国一位だって!」

黒田理沙はページをめくっていた指をふと止め、顔を上げた。興奮で頬をうっすら赤らめた母の顔を見ても、表情は相変わらず淡いまま。

本を閉じ、すっと立ち上がる。

「……下、行ってみる」

青山彩は理沙の手を取って廊下へ引っ張り出した。足取りはせわしなく、まるで少しでももたつけば客が帰ってしまうとでも言うように。

そのこ...

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