第202章

5時07分。

7時15分、アラームが鳴った。

彼女は目を開ける。カーテンの隙間からこぼれた朝日が、ベッドの足元に細く落ちていた。

二秒ほど横になったまま息を整え、それから上体を起こす。目をこすり、トイレで身支度を済ませた。

鏡の中の顔には寝不足の気配が残っている。目の下に、うっすらと青い影。

顔を水でさっと洗い、着替えて階下へ降りた。

リビングはしんと静まり返っていて、青山彩も青山博文もいない。まだ起きていないのだろう。

ホールを抜けて玄関へ。靴を履いてドアを押し開けると、庭の金木犀の甘い香りを含んだ朝風が、ふわりと頬を撫でた。

そこで、黒いマイバッハが目に入る。

花村尚希...

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