第21章

黒田理沙は彼女をちらりと見た。その視線は薄く、まるで聞き分けのない子どもでも眺めるみたいだった。

何も言わないまま、踵を返してホテルの中へ入っていく。

青山美玲はその一瞥だけで背筋がぞわりとした。顔に貼りつけていた笑みが、危うく崩れかける。

けれど次の瞬間には、胸を張り直した。ハイヒールを鳴らし、追いすがる。

――気取ってなさいよ。中に入ったら、本物の名門ってやつを見せてあげるんだから。

黒田理沙と田中菜々緒がホテルのロビーへ足を踏み入れた途端、黒い制服のスタッフがすっと進み出た。腰の低い態度で告げる。

「お二人さま、こちらへどうぞ」

田中菜々緒が理沙を見る。理沙は小さく頷いた...

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