第212章

電話を切ると、黒田理沙はスマホをポケットに戻し、首だけ傾けて花村尚希をちらりと見た。

花村尚希も横目で彼女を見返し、眉を上げる。

「どうした?」

黒田理沙はスマホを差し出した。

「ママがまた送金してきた。50万。『おいしいものでも食べなさい』って」

画面を確認した花村尚希が、こらえきれずにくすっと笑う。

「さすが、お義母さんだな」

黒田理沙は肩をすくめる。

「最近ほんと、一日中『お金送ろう』しか考えてないんじゃないかな」

花村尚希は妙に真面目な顔でうなずいた。

「いいことじゃん。これからは俺以外にも、理沙を甘やかす人が増える」

黒田理沙は呆れたように彼を睨みつける――の...

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