第216章

同じ頃、デパートの反対側――白いスポーツカーが、入口前にすうっと停まった。

黒田美穂は井口景太の腕にそっと絡みつき、二人で車を降りる。

今日は、わざわざ時間を作ってのデートだった。

結婚式まで日が迫っているのに、まだ揃っていないものが多い。

景太は隣の彼女を見下ろし、柔らかな声で言った。

「今日は、まず式で使うものでも見に行く?」

美穂は素直にこくりとうなずく。

「うん、いいよ」

二人が数歩進んだところで、美穂がふいに立ち止まった。

何かを思い出したように、唇を軽く噛む。

「景太……」

「どうした?」

少し迷ってから、美穂は小さな声で切り出した。

「先に骨董のコーナ...

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